平成を彩ったビューティートレンド変遷
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平成を彩ったビューティートレンド変遷

平成を彩ったビューティートレンド変遷
~トレンド変化の加速と多様化の時代へ~

平成にかわる新元号を定める改元が2019年に行われます。資生堂は平成という時代を長年のトレンド研究の成果を活かして美容の視点で切り取り、30年間を彩った女性のビューティートレンドの変遷を1名のモデルで再現しました。

■動画「平成ビューティートレンド七変化」

【平成元年~5年(1989~1993年)】

昭和名残のバブルゴージャス

80年代初頭からのキャリア志向の末に、バブルの絶頂期を迎えた平成元年。この頃日本の女性たちは、強さと女らしさをうまく使い分けるようになります。海外旅行などの贅沢を謳歌し、本物志向・高級志向が高まり「お嬢様ブーム」となりました。「ボディコン(ボディコンシャス)」で女性らしさをアピールするファッションが大人気となり、一方で「渋カジ」と呼ばれた「紺ブレ(金ボタン付きの紺色ブレザー)」にジーンズなどトラッドで上品なカジュアルスタイルや、コンサバティブなファッションも流行しました。

この頃のメイクの特徴は、真っ赤や青味のローズピンクなど、はっきりとしたビビットな色味の口紅です。口もと以外は全体にナチュラルで、目もともほんのりとしたローズやパープル系など、非常に女性らしいメイクです。

ヘアは、「ワンレン(ワンレングス)」のロングが主流で、毛先のみにパーマをかけたソバージュや、ストレートロングが流行りました。また、前髪を立たせた「とさかヘア」や、薄くおろした「すだれ前髪」も、この時代を象徴するスタイルと言えます。

【平成6~10年(1994~1998年)】

茶髪・細眉・小顔とギャル文化

バブル崩壊後長く続く平成不況に突入し、多方面で安価な商品が人気となります。また消費において団塊ジュニアの存在感が増しました。この頃パソコンや携帯電話が一般に広く普及し始め、得られる情報量が格段に増加しました。ルーズソックスのブームなどをきっかけに女子高生に注目が集まり、厚底ブーツやミニスカートなど、いわゆる「ギャル文化」が台頭。彼女たちが社会に与える影響も大きくなっていきました。

スーパーモデルブームなどと相まって、茶髪、細眉、小顔メイクが大流行。髪色に合わせた眉のブリーチや、下地などで光るツヤ肌を演出するなど、細部へのこだわりも見られ美容への関心が高まりました。またファッションでの光沢素材の流行と連動し、輝きのあるパールアイシャドウ、色を抑えたベージュ、ブラウン系のリップなどが主流になるなど、クールで近未来的なメイクが流行りました。

この時期メディアなどで「カリスマ美容師」が人気となり、毛先に段差をつけるレイヤーカットや、毛先をすくシャギーカットが提案されました。また若い女性のヘアカラー率が9割を超えました。

【平成11~15年(1999~2003年)】

ブロンズ・囲み目・ギャルファッション

ミレニアムのこの時期、ストリートファッションは盛り上がりをみせ、ギャル系、エレガント系、裏原(裏原宿)系など流行のピラミッドはいくつも枝分かれし、カテゴライズ化されました。

この頃に印象的なのが、90年代に現れた「ギャル文化」が、渋谷を中心としたエリアで独自に進化したスタイルです。原色の服、花の髪飾り、個性的な化粧など奇抜なストリートスタイルで、メディアにも多く取り上げられ、海外からも注目が集まりました。

この層のメイクの最大の特長は、日焼け肌の演出です。実際に日焼けをする人もいれば、濃い色味のファンデーションやフェイスパウダーでメイクする人も多くみられました。目の際を囲んだアイラインと、薄い色の眉で、目をより強調した仕上がりでした。

ヘアは、明るいハイトーンのイエロー、アッシュ、ハイブリーチなどバリエーションが増え、ヘアカラー人口はさらに増加し一般化しました。

【平成16~20年(2004~2008年)】

女子力高めの盛りメイク

不況や格差が深刻化したこの時期、不安感からか、安定志向や結婚願望の高まりが見られました。婚活ブームが起こり、同時に女性たちの「モテ意識」が強くなりました。フリルやレース使いのロマンティックファッションや、手軽にトレンドを楽しめるファストファッションの流行が拡大しました。またインターネットの普及も急速に進み、トレンド情報をいち早く発信するブロガーが注目されました。

メイクは肌になじむナチュラルな色使いが人気で アイシャドウはブラウン、リップはピンクベージュ一辺倒でした。色はナチュラルながらより女性らしさを強調し演出する「盛りメイク」が流行。囲み目アイライン、マスカラ重ね付け、つけまつ毛などで目を大きく見せ、口もとはグロスルージュや、リップにグロスを重ねてツヤを与えるなど、さりげなく「盛って」いました。さらに黒目強調コンタクトやまつ毛エクステなど、化粧品以外の手段も駆使するなど美容熱の高まりがみられた時期です。

ほどよい重さのあるセミロングやロングヘアが人気となり、ヘアカラーはやや暗めブラウンにシフトしています。ヘアにも「盛り」傾向は見られ、エクステやヘアアイロンで巻き髪を作り、トップやサイドにボリュームを持たせたシルエットが人気でした。

【平成21~25年(2009~2013年)】

ゆるふわ癒し系大人カワイイ女子

2011年の東日本大震災を挟んだこの時期、不況の深刻化と同時に様々な角度から「勝ち組・負け組」といった格差意識が社会に蔓延し始めていましたが、震災を機に、世の中全体の価値観や、消費マインドが変化します。情報の精査のためや、「絆」意識の高まりで、SNSが急速に拡大しました。女性たちも本当に必要なものは何かを自問自答し、自身を見つめなおして身の丈に合った消費傾向が強まります。ファッションも肩の力が抜けた「脱力系ゆるふわ」の自然体へと移行し、癒しブームが到来。この頃、若年層から派生したカワイイ文化・ファッションは、海外からも注目され、「KAWAII」が世界共通語にもなりました。国内ではそのカワイイ価値観は、大人世代にも影響を与えて、「大人カワイイ」といった表現も使われるようになりました。

メイクもファッション同様に力の抜けたナチュラルな傾向となります。下まぶたにパールハイライトをきかせた「涙袋メイク」や、頬の高い位置に頬紅をきかせた「湯上りチーク」などが現れました。ヘアはパーマやヘアアイロンで柔らかくふんわりした巻き髪や、毛先を内巻きにして、エアリーな空気感を感じるナチュラルスタイルが主流でした。

【平成26年~現在(2014~2018年)】

抜け感バブルリバイバル

景気の緩やかな回復や、訪日観光客の増加など、好景気への期待が高まった平成末期。ミレニアル世代の存在感が増し、カテゴリーに縛られない新しい価値観を楽しむ人が増えました。ハイウエストやプロデューサー巻き、スニーカーブームなど、80・90年代ファッションのリバイバルが登場。動画投稿サイトや画像共有SNSなどの普及により自撮り写真を個人発信する傾向が顕著になり、多くのインフルエンサーが登場しました。

メイクはやや大人っぽい「レディ」「モード」がキーワードに。バブル期を想起させる「ナチュ太眉」といった、色が明るく短めの太い眉が特徴です。口もとも、しばらく見られなかった赤リップをはじめとする鮮やかなローズ、ビビッドなピンクなど、ブライトな口紅がバブル期以来の流行となりました。

ヘアはボブスタイルが人気となり、「かきあげ前髪」や、バブル期には「すだれ前髪」と呼ばれ人気だった薄くおろした前髪が「シースルーバング」として再び人気となりました。

【平成から新元号へ 今後のヘアメイクのトレンドは…】

一周まわってフューチャリスティック

これまでの「○○系」といったカテゴリーにとらわれない多様な価値観を楽しむ傾向が広がりをみせています。時代を代表するトレンドは、従来のような単一に絞れず、多々ある情報の中から、個々人が新しさを取捨選択していく時代となるでしょう。ヘアメイクの世界でも個性を際立てる「パーソナライズ化」は加速していきそうです。1つのトレンドにとらわれず1人が気分やシーンによって様々なパターンを楽しむ「多様性」の傾向にあり、表現の幅や選択肢が広がるでしょう。

「多様性」の一例として、90年代後半の近未来的なファッション・メイクのトレンド「フューチャリスティック」が新たな解釈でリバイバルされることがあげられます。形や色よりも質感を重視。肌は薄く素肌っぽいツヤ感のある仕上がりで、目もと、口もとは光沢感や輝きのあるパールなど、すっきりとクールでイノセントな印象が新鮮です。まつ毛にワンポイントのカラーをアクセントにするなどプレイフルな表現も考えられます。