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鈴木 節子

2014.12.22

日本女性の化粧の変遷100年

「化粧は時代を映し出す」

~時代とともに女性は変わる~

長年の化粧トレンド研究の成果を活かし、西洋化粧が一般的に取り入れられるようになった、1920年から現在に至るまでの化粧の変遷を1名のモデルで再現しました。今回は、トップヘア&メーキャップアーティスト鈴木節子が、時代背景とともに美の変遷と未来の美について解説します。

英語版 (English version) はこちら


【1920年~1950年代/西洋文化・銀幕女優への憧憬】

銀幕の女優や欧米のスターアイコンがお手本になった時代。1920年代は細く下がった眉、目尻にシャドーを入れたタレ目、薄いおちょぼ口など、非常に頼りない表情ですが、日本の伝統的な化粧とよく似ています。その後1930年代になると、アーチ型につり上げた眉と、アウトカーブで大きめに描いた唇に変化。戦後である1950年代になると、意志の強そうな角型の太い眉と、アイラインでキリッとつり上げた目もとが流行し、復興期の日本の力強さを読み取ることができます。

 

【1920年代/大正ロマンのモダンガール】

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【1930年代/銀幕女優への憧れ化粧】

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【1950年代/アメリカンスタイルとヘップバーンがお手本】

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【1960年~1970年代/西洋人顔への憧憬と模倣】

1960年代~1970年代前半は、日本人が本格的に世界を意識し始めた時代です。特にメーキャップに関しては、伝統的な3原色から脱却し、口紅に淡いシャーベットトーンが登場し、メーキャップの幅が格段に広がりました。女性のファッションアイコンは映画女優から、コーマーシャルで活躍するモデルへと移行します。それに伴い、上瞼に二重ラインを描き、大げさなつけまつ毛を付け、立体的な眼の大きな西洋人モデルのようなアイメーキャップが流行します。肌に関しては、西洋志向のピンク系の明るい肌が主流ではあるものの、日本史上初めて日焼け色の肌が大流行した時代でもあります。1970年代に入ると、ベトナム戦争、反戦運動、ヒッピーの登場、石油ショック、急激な工業化による公害問題など、戦後急成長する日本に暗い影を落とします。それに伴いメーキャップは、60年代に元気につり上がっていた目もとが、目の下にシャドーの入ったタレ目風になり、眉は非常に細く薄く、全体的に退廃的な雰囲気が主流となります。

 

【1960年代/欧米志向真っ盛り 西洋人形風】

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【1970年代前期/フォークロア調アンニュイなヒッピースタイル】

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【1970年代後期~1990年代初期/日本美の再認識・女性の社会進出】

1970年代後期は、それまでの欧米中心の価値観では、マイナーだった存在の日本人が国際舞台に立つようになりました。日本人デザイナーがパリコレクションで認められ、日本人モデルももてはやされます。「西洋人のようになりたい」というコンプレックスを脱し、日本人固有の美しさを見直すようになります。当社では、1973年に広告モデルとして純日本的な山口小夜子を初めて起用します。また、1976年に真行寺君枝を起用したシフォネットの宣伝広告では「ゆれるまなざし」をキャッチコピーに、日本人の切れ長な目もとの魅力をアピールし大きな話題となりました。景気が上昇し「ジャパンアズナンバーワン」と言われた1980年代になると、キャリアウーマンブームを迎え、ファッションもサーファーファッションやカラス族など、多様化が始まります。それまで20年間にわたって細く薄くなる一方だった眉が、一気に太く濃くなります。「ナチュラルだから」といいながら、実際にはかなり太く濃く、強い印象のメーキャップとなります。キャリア志向の末に世界一のバブル景気を迎えた日本の女性たちは、やがて強さと女らしさを使い分けるようになり、徐々にワンレン、ボディ・コンの女らしいスタイルへシフトします。その後、はっきりとした色の特徴的な口紅以外の化粧は薄くなり、目もともごくナチュラルなものとなります。

 

【1970年代後期/欧米志向を脱却 日本美を見直し】

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【1980年代初期~中期/ジャパンアズナンバーワンのキャリアウーマン】

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【1980年代後期~1990年代初期/バブル期のワンレン・ボディ・コン にわかお嬢様】

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【1990年代後期~現在/空前の美容ブーム到来・日本独自のトレンド形成・進化】

1990年代後半から茶髪・細眉・小顔メークで女性たちの美容熱はヒートアップしていきます。ファッションも流行が先行層から裾野へと広がる、ピラミッド型から変化していきます。ギャル層、OLエレガント層、裏原系など、ピラミッドの山は幾つも細分化され、多様化に向かいます。2000年代の女性たちは、ヘアエクステ、まつ毛パーマ 、まつ毛エクステ、黒目強調コンタクト、ジェルネールなど、化粧品だけでは表現できない領域の、美容表現にまで手を広げ、空前の美容ブームが到来します。化粧品以外の手段も駆使して、盛りに盛ったヘアメークは、どこまでも白熱し拡張するかに思えましたが、東日本大震災という大きな出来事で分岐点を迎えます。自分にとって本当に必要なモノは何かを自問自答し、自分自身を見つめ直した女性たちの化粧は、一気に肩の力が抜けナチュラルに回帰していきます。癒しを求め日本女性が本来好むカワイイ表現として、涙袋メークや湯上りのぼせチークが現れます。眉の色は明るくなり、ブライトカラーで口もとに色味が戻ってきます。2000年代メークの色味は技術の進化とともに、なじみ系ヒューマンカラーの長い流行を経て、現在色戻りの時代となっています。

 

【1990年代後期~2000年代初期/ミレニアムのヒカル クールビューティー】

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【2000年代中期~後期/モテ気分の盛化粧】

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【2011年3.11以降/癒し愛され・ゆるふわ化粧】

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【2010年代中期/にわか好景気の バブルリバイバル】

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【社会・景気動向と化粧について】

過去の社会・景気動向と化粧の関係を見ると、景気が良くなると明るい色の口紅や太眉が主流となり、凛とした元気なメーキャップが流行する傾向があります。逆に景気が悪くなると、眉が細くなるなど、頼りなげな冷めた表情のメーキャップが流行します。その他、天災や情勢不安があると、メーキャップがナチュラル回帰するなどの傾向がみられます。最近では、口もとに色が戻り、太眉の傾向が続いていることより、景気の上向き傾向や好景気への期待が化粧に表れていると捉えることもできます。これは、女性の化粧が世の中の雰囲気=世相を反映しており、女性の顔が社会背景や経済動向などを含む時代の空気と共に変化しているともいえます。

 

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 参考書籍のご案内 

本記事にて掲載している「化粧の変遷」については、「化粧による自己表現」の観点から、下記書籍においても考察の記述があります。化粧の起源から現代に至るまでの化粧の歴史についても詳しい解説がありますので、あわせてご参考下さい。

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タイトル: 『顔の百科事典』

編集:日本顔学会

発行: 丸善出版株式会社

発刊日: 2015年9月15日

定価: 25,000円(税抜)

仕様: A5判 642ページ

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